参加者=奥村恭子(1)、清水計枝(1)、清水正宣(1)、清水洋二(1)、荒井昇三(5)、倉沢直彦(5)、宮澤康元(5)、安武知子(5)、山浦ひろみ(5)、村居次雄(8)、山浦るみ子(8)、清水淳郎(9)、藤巻禮子(9)の13人。
富山城跡、高岡城跡の旅
6月22日八王子駅からあずさ3号に乗り込んだ。ホームのアナウンスで全ての指定席は完売とのこと、今年の3月からあずさは自由席が無くなったのだ。5号車には清水淳郎さん、清水洋二さん、藤巻さん、山浦さんが乗っている。私の席は6号車9番D、南アルプス、北アルプスを車窓から眺めるにはD席が良いのです。ところが大月あたりから雨、この先も期待できそうもない。笹子トンネルを過ぎると曇りになったが、遠く南アルプスは雲の中、鳳凰三山も裾野だけ。「中央線から見える山」のコピー、「北アルプス北部全図」のコピーも用意したのに…。
10時23分松本着、清水計枝さんを始め上田からの仲間も乗り込んで来た。乗客もかなり減ったので全車指定もお構いなく6号車に集まりお喋りが始まった。今回は総勢13人、11時には弁当を広げた。大糸線は白馬まで乗ったことがあるがその先は未乗車、楽しみにしていた。白馬の手前でやっと雲の中に白馬三山が見えた、雪渓も見える。白馬駅ではクラブツーリズムの団体などが降りた。11時42分終点南小谷に着く、隣のホームに糸魚川行きのワンマン2両、座れたが発車時には立つ人も出た。12時発車、ディーゼルだ。姫川に沿って下る、カーブが多く徐行運転の区間もあり、トンネルが多いがトンネル内はスピードを上げていた。次第に川幅が広くなり水量も多くなる、糸魚川が近づくと田が広くなり人家も見えた。
糸魚川駅12時57分着、乗り換え6分でえちごトキめき鉄道泊行き、1両運行、これも座れた。30分で泊、ホーム先で暫く待つとあいの風とやま鉄道折り返し金沢行きが入ってきた。2両編成、なかなかきれいな電車だ。14時36分富山駅着、まだ工事中であるがきれいな駅だ。新潟県と比較すると、富山県の駅はきれいだ、きれいばかり続いたが…。
賑やかな駅前から歩いて富山城跡へ、清水淳郎さんの解説を聞きながら石垣を見て、掘りの周りを回り城内の富山市郷土博物館に入る。富山城の由来と変遷を学ぶ。天守の展望台に上るが立山は見えず。外に出て休憩した後、宿泊するホテルルートインに向かう。18時からホテル内美蔵で夕食、ブリなどお刺身や天ぷら、ホタルイカの沖漬けなどに舌鼓、地酒「立山」も美味く、お喋りが弾んだ。
翌朝8時20分ホテルを出て富山駅へ、あいの風とやま鉄道で高岡駅へ、結構混んだ電車だった。予報は曇りだが、どんよりしている。8時57分高岡駅、ここもきれいな駅、新築したばかりなのか、新幹線駅は別なのに。最初に瑞龍寺に向かう、金沢は加賀藩とは知っていたが、富山も高岡も加賀藩だったとは今回初めて知った。ボランティアガイドの説明を聞きながら寺内を回る。山門、仏殿、法堂は国宝、それぞれ重厚である。次に向かったのが前田利長墓所、瑞龍寺から真っ直ぐ東へ八丁道を行く。鬱蒼とした林の中に墓所はあった。
11時、駅に戻り観光案内所でレンタサイクルを借り、まず高岡古城公園へ。ここでも淳郎さんの解説、高山右近の縄張りで作ったのだそうだ、右近の像もある。しかし一国一城令により廃城となり残るのは外堀、内堀。本丸広場に利長公の銅像があった。雲行きが怪しくなったが、高岡大仏を目指す。三大大仏の一つ、一寸新しいが…。山町筋に向かい土蔵造りの町並みを見、ここで昼食。最後に千本格子の金屋町、石畳で風情がある、通りが微妙に畝っている。吉永小百合のポスターを撮った場所で記念撮影。金屋町は高岡鋳物発祥の地なのだそうだ。皆さん大寺幸八商店に入りお土産を買う。15時駅に戻り自転車を返す。新高岡駅までJRで一駅、駅の周りはまだ閑散としている。16時23分のはくたか570号に乗る。いつもの仲間と富山の旅、ありがとうございました。今年の秋には立山に登りたい…。
村居次雄(8組)
女3人 いいとこどりの加賀街道プラス旅
富山県の高岡市と岐阜県の白川郷を結んで『世界遺産バス』が走っていることをたまたま知った。『いいとこどりの加賀街道』の第2回はその高岡市で行程が終了だ。藤巻さん、奥村さん、私の女性3人で五箇山と白川郷を訪ねるプラス旅を楽しもうということになった。
仲間が去ったあとの高岡駅で3人だけでバスを待ったがなんだか心細かった。『世界遺産バス』などと仰々しい名前の割に地味な大型バスが現れた時はほっとした。
平坦な富山平野を1時間程走り続け、やがて山間地へと入って行った。しばらく山中を走ってトンネルに入る。長いトンネルだった。抜けるとすぐ短いトンネル。この短いトンネルがあっという間に終わると、眼前には息を呑むような絶景が広がっていた。緑、緑、視界のすべてが緑。緑の小山が幾重にも重なっていた。鮮烈な緑だった。「この景色を見ることが出来ただけでも、来てよかったね」と言い交した。ゆっくりあじわいたいという願いなどおかまいなしで、カーブだらけの道をグングン行く。やがて道は下りに入る。小さな集落がいくつか現れる。下り終わって平地に入ると沿道に人家が増え、どこか懐かしい田舎道の光景になった。宿泊は『五箇山荘』という国民宿舎、上梨という集落で降ろしてもらった。
バスが走り去ると、目の前には大きな茶色の塊があった。
「えー、まさか、これがあれ…?」
合掌造りの家との予期せぬ出会いにうろたえた。国指定重要文化財村上家と看板に黒々と書かれていた。開館の時間を確認し、庄川の橋を渡る。加賀藩時代にはかける事が許されなかった橋だ。庄川を覗き込んでみる。深い谷だ。川幅はさほどではないが、水量は多く流れが激しい。水の色は緑白色、不思議な水の色だった。橋のちょっと先には茶色のお堂の様な流刑小屋があった。
五箇山で是非見たいと願っていたものが、立て続けに表れて興奮したが、身体はヘトヘトだった。全部を翌日まわしにしてノロノロと坂を上がって行った。上から降りてきた五箇山荘の車に拾って貰ってようやく宿に辿り着いた。
五箇山荘は食事良し、部屋良し、温泉良し、スタッフ良しで言う事なしだった。夕食後スタッフの1人がこきりこ節を披露してくれた。ささらやこきりこの楽器体験をさせて貰ったが、簡単そうに見えて手強く、つい夢中になっていた。
翌朝は朝食を済ませただちに出発、まず流刑小屋へ。6畳間位の小屋の周りをひとめぐりし、あかりとりらしきくりぬき穴から覗きこむ。頑丈な家畜小屋としか思えなかった。続いて村上家へ。すでに戸障子は開けられていて、案内の方が囲炉裏の火をつけようとしているところだった。盛大に煙が立ち上がる囲炉裏の近くで話を聞く。流刑地としての五箇山のあれこれを語ってくれた。目の前を流れる庄川の右岸に8軒の流刑小屋があったが、1集落に1軒づつ。後背地は深い山、前の庄川には橋がけが許されなかった。川越えは手動の吊り篭のみ、住民が大変だったろうと思う。囚人は江戸時代を通して150人、全員が武士で政治犯だったという。権力闘争の敗者だったのだろうか。あるいは政治改革を目論んだ者だったのだろうか、などとあとで3人で論じ合った。終わりにこきりこ節を歌ってくれた。1日に何回もうたうのであろうか良い声だった。建物の中は自由に見学していってくださいとの事で、2階、3階にあがる。民具がぎっしり展示されていた。
バスで5km先の菅沼集落へ。ここは五箇山に2カ所ある世界遺産指定地域の小さい方の集落。数枚の田のまわりに9軒の合掌造りの家が並んでいた。そのうちの2軒に入る事が出来た。『五箇山民俗館』と『塩硝の館』と看板にあった。
流刑と塩哨作り、加賀藩のダークな側面を担ってきた地という勝手なイメージが、この塩哨の館ですっかり変わった。丁寧な説明と実際に使われていた道具類の展示で分かり易かった。秘密めいた危険な作業に住民は携わっていたと思い込んでいたが、塩哨作りは地域の大切ななりわいだったようで、危険とは言い難かった。むしろ食品加工とか、保存食作りと同類に感じた。長い時間をかけ、最新の注意で良質なものを作り上げていたようで、完成品は山越えで加賀藩の火薬製造所に運ばれたが、他藩へも売り捌いていたという。黒船の来航がきっかけで、塩哨の生産量は10倍にまで増加したとのテンヤワンヤの時代であったらしいが、外国から硝石の輸入が可能になった事で終焉が訪れた、と大雑把に言えばこんな歴史があったらしい。和紙作りと塩哨という安定産業があった五箇山地域、里よりはるかに暮らしが良かったかも、などと思いながら、もう一つの合掌造りの『五箇山民俗館』に入った。この時、すでに疲れが溜まってきていた。現代のバリアフリーの考え方の対極にある合掌造り、シニアにはしんどかった。2軒目はざっと済ませたので何が展示してあったか、思い出せない。
最後に訪れた白川郷、大ハズレだった。バスを降りたその時から帰りたくなっていた。どこもかしこも人だらけだ。足が進まない。手近な食堂で食事だけは済ませた。シャトルバスで集落が一望できる高台へ、すぐ又、戻る。バス待合所でひたすら帰りのバスを待った。
白川郷で下がってしまったテンション、『はくたか』に乗り込んでようやく平常に戻った。口もまわり出した。『いいとこどりの加賀街道プラス旅』は尻すぼみで終わったが「行って良かったねえ」と何度も言い交した。心が震えるような自然の美しさがあった。こきりこ節の唄と踊りのなつかしさ、合掌造りの家の存在感と生活の厚み、五箇山で出会った人、自然、歴史全てが感動だった。
今回のプラス旅で得た教訓、プラス旅はほんの少々に抑えねばならない、自分の体力を過信してはならない。70を超えた年齢だ。思っているようには3日目は動けません。でも、時間やお金に余裕があったら行う事をおすすめします。
山浦るみ子(8組)
|